専門職大学院

専門職大学院は、科学技術の進展や社会・経済のグローバル化に伴う、社会的・国際的に活躍できる高度専門職業人養成へのニーズの高まりに対応するため、高度専門職業人の養成に目的を特化した課程として、平成15年度に創設されました。特徴としては、理論と実務を架橋した教育を行うことを基本としつつ、1:少人数教育、双方向的・多方向的な授業、事例研究、現地調査などの実践的な教育方法をとること、2:研究指導や論文審査は必須としないこと、3:実務家教員を一定割合置くことなどを制度上定めています。
制度創設時から法曹(法科大学院)、会計、ビジネス・MOT(技術経営)、公共政策、公衆衛生等の様々な分野で開設が進み、平成20年度には、実践的指導能力を備えた教員を養成する教職大学院が開設し、専門職大学院は、高度で専門的な知識・能力を備えた高度専門職業人を養成することが期待されています。
専門職大学院が、社会からの高い評価を得て、将来に向けて発展を遂げていくためには、各専門職大学院が関係する産業界、学協会、職能団体、地方公共団体等との連携を図りながら、制度の趣旨を踏まえ、理論と実務を架橋した実践的な教育の充実に不断の努力をしていくことが求められています。

文部科学省 専門職大学院
http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/senmonshoku/index.html

 

公衆衛生系専門職大学院

少子高齢化やグローバリゼーションのもと、様々な健康・医療に関わる課題、医療費など社会保障に関わる課題、あるいは有害物質等による環境リスク、食の安全問題など、人々の健康、医療、環境に関わる課題は多様化、複雑化しており、俯瞰的・システム的な思考が求められています。このような社会の状況を受け、1998年10月の大学審議会答申、1999年2月の21世紀医学・医療懇談会第4次報告、さらには2005年9月の中央教育審議会答申「新時代の大学院教育―国際的に魅力ある大学院教育の構築に向けて―」において、公衆衛生分野の専門職大学院の必要性が繰り返し指摘されてきました。
このような背景のもと、日本初の公衆衛生大学院として、2000年4月、京都大学に社会健康医学専攻が設置され、翌年には、九州大学に医療経営・管理学専攻が設置されました。いずれも、2003年の文部科学省の設置基準改正に伴って専門職大学院に改組され、2007年度には、東京大学に公共健康医学専攻(専門職大学院)、2011年度には、私立大学で初めて、帝京大学に公衆衛生学研究科(専門職大学院)が設置されました。
欧米では、古くから公衆衛生の専門教育が制度化されています。公衆衛生の専門教育が最も発展している米国では、20世紀初頭、まずジョンズホプキンス大学、次いでハーバード大学にSchool of Public Health(公衆衛生大学院と訳すことが多い)が設立されました。現在、米国には100を超える公衆衛生大学院または公衆衛生学修士コースがあり、5万人以上の学生が在籍しています。欧州では、1924年開校のイギリスのLondon School of Hygiene and Tropical Medicine(歴史的な理由でこのような名称ですが、大学の使命はleading school of public healthであると謳っています)をはじめ、大陸の国々にも歴史ある公衆衛生大学院は少なくありません。アジアでも、韓国、タイ、フィリピン、シンガポールなどで多くの公衆衛生大学院が設立されています。

公衆衛生系専門職大学院連絡協議会
http://square.umin.ac.jp/sph/about.html