専攻長メッセージ

専攻長メッセージ

当大学院は、2001年4月に日本ではじめて、九州大学大学院医学系学府に設置された医療経営・管理学専攻修士課程の専門職大学院です。わが国の医療は、公的な皆保険制度の枠組みで資金の調達と供給が行われているため、医療経営・管理学に特化した公衆衛生大学院と位置づけられています。当専攻は、医療経営・管理における専門的な知恵や技術を教育することを目的としています。したがって、新卒の方ばかりでなく医療現場や行政現場で医療職あるいは事務職として働いている方、大学などで教育現場での経験がある方も歓迎です。
医療経営・管理学は、「良い医療を届けるための仕組みを作る」学問です。「良い医療」とは、患者さんが健康問題を持った時、標準的な治療が提供できることを意味します。そのためには、十分なスタッフがいて、標準的な教育を受け標準的な技術を身につけており、物的資源が整っており、適切な医療を提供するためのマネジメントと資金調達が行われていなければなりません。そのためには、エビデンスを根拠にして、医療を組み立てていく必要があるのです。

しかしながら一方、科学性や合理性だけでは、「良い医療を届ける」ことはできません。医療は医療側と患者との共同作業であるべきで、そのことが患者のエンパワメントにつながると考えています。このような考え方は、科学性や合理性だけでは生まれてきません。社会的な価値の共有とか合意といった哲学や倫理的な問題も考慮されなければならないのです。

学生の進路先は、大学、医療経営・管理、シンクタンク、医療機関、医療系団体、行政など多岐にわたります。進路先で要求される技術は異なるために、演習において進路先を考慮した教育を行っています。たとえば、進路先が行政であれば医療計画の作成、医療機関であればリスクマネジメントやストレスマネジメントのプログラムの作成、シンクタンクであれば療養型病床群の転床支援などです。

本専攻には、さまざまな年齢の方々が、さまざまな地域から集まってきてくださっています。そのため、自分の職種の利害を超えて、良い医療を提供するための知恵や工夫に関して話し合うことができるのです。お互いの背景に敬意を持ち、目的を共有して、共同作業で価値のある何かを生み出して欲しいと思っています。

専攻長 馬場園 明

医療機関、自治体、保険者の皆さんへ

第六次医療法改正(地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律案)により医療改革が進められていくことになりました。そして、医療計画において、①構想区域(二次医療圏など)における病床の機能区分ごとの将来の病床数の必要量などに基づく、当該構想区域における将来の医療提供体制に関する「地域医療構想」(地域医療ビジョン)に関する事項、②地域医療構想の達成に向けた病床の機能分化および連携の推進に関する事項-などが定められます。
地域療ビジョンの具体的内容としては、①2025年の医療需要、②2025年に目指すべき医療提供体制(二次医療圏ごとの医療機能別の必要量など)、③目指すべき医療提供体制を実現するための施策(病床機能の分化・連携を進めるための施設整備、医療従事者の確保・養成など)があります。
第六次医療法改正は診療報酬及び介護報酬に反映され、これから大きく医療環境が変化することになります。これらの変化に適切に対応するためには、最新の医療政策や医療経営について学ぶ必要があります。また、DPCデータや電子レセプトなどの解析の技術を身につけることも需給バランスを推計することに貢献できます。当専攻で学ぶことは、特に、医療機関、自治体、保険者で働いている方には、有益であると思われます。
当専攻の学生は社会人が中心であり、ほとんどの学生が働きながら学んでいます。必修が火曜日に集中しているために、1年次に火曜日の科目を履修し2年次に別の曜日の科目を履修すれば、卒業要件を満たすことも可能です。忙しい社会人の学生に対しては、2年分の授業料で3年間学べる長期履修制度も活用できます。
良い医療を届ける仕組みを構築し、社会貢献をしたい学生の入学を歓迎します。

専攻長 馬場園 明